とびひの正式な病名は伝染性膿痂疹(のうかしん)です。水疱性と痂皮(かひ)性の2種類があり、子どもに多いのは水疱性膿痂疹です。水疱性膿痂疹は皮膚に赤みが出た後に、水ぶくれやびらんができます。痂皮性はカサカサした厚みのあるかさぶたが多発します。いずれも軽いかゆみがあり、体中に広がりやすく、「飛び火」がとびひの名の由来です。他の人にも感染するので、保育園などでは登園中止を指示されることもあります。
水疱性膿痂疹の原因は黄色ブドウ球菌で、皮膚や鼻の中などにいる常在菌です。虫刺されやあせもなどを引っかくと傷口から皮膚に入り込みます。痂皮性膿痂疹は、溶連菌の一種であるA群β溶血性連鎖球菌が原因となります。治療は抗菌薬の塗布や内服を基本とし、湿疹の治療を併用します。同じブドウ球菌でも株によって抗菌薬の感受性が変わるため、治りにくい場合は培養検査を行い、菌の同定、薬剤に対する感受性を調べることもあります。また、かゆみが強いときは、抗ヒスタミン薬の内服を併用します。溶連菌が原因の場合は、腎炎を起こす可能性があるので、皮膚の症状が治まっていても2週間は内服を続けることが大事です。 夏は菌が繁殖しやすいので、汗をかいたらシャワーで流す、手を洗い皮膚を清潔に保つことが有用です。一番大切なことは、皮膚に傷をつけないことです。虫刺されなどをかきむしらないよう、爪を短く切ります。小児皮膚科