「第61回 菌状息肉症」2019年9月13日付「リビング東京副都心 」に掲載されました
- 2019年12月13日
- 一般皮膚科
背中や太ももに赤い斑ができてずっと治りません
菌状息肉症の疑いがあります
お尻や太もも、背中に赤茶色の斑ができて、ずっと治らない…。皮膚リ ンパ腫の中でも多いといわれる菌状息肉症について日本皮膚科学会認定皮 膚科専門医、中野皮膚科クリニック院長の松尾光馬先生に聞きました。
―どんな病気ですか?
「皮膚にできる悪性のリンパ腫です。アトピー や乾癬(かんせん)に似ていて、最初は背中やお尻、太ももなどにだ円形の紅斑がいくつもできます。 この紅斑期が数年~ 10 年 近く続き、表面がカサカ サして鱗状になっていることもあります。痛みやかゆみなどの自覚症状はないため、そのまま放っておくと、だんだん広がっていき紅斑に厚みができる扁平浸潤期(へんぺ いしんじゅんき)、腫瘤期(しゅりゅうき)へと悪化していきます」
―原因は?
「血中のT細胞が悪性化、増殖して発症します。 皮膚に症状がでますが、 進行するとリンパ節やほかの臓器にも広がっていくので早めに治療するこ とが大切です」
―治療法は?
「広がりや進行度によっても違いますが、紅斑期はステロイドの塗り薬や患部に光をあてる紫外線療法を中心に行います。2010年以降、ヒストン脱アセチル化酵素阻害薬が保険適用になるなど、治療の選択肢も増 えてきました。見た目か らアトピー性皮膚炎や乾 癬(かんせん)と間違われやすく、皮膚科でも皮膚生検をしてみないと確定しにくい病気です。痛みもかゆみもないので放っておきがちですが、進行すると治りにくくなります。気になる症状がある場合は、早めに医師に相談してください」