「第62回 ボーエン病」2019年10月25日付「リビング東京副都心 」に掲載されました
- 2019年12月13日
- 一般皮膚科
ずっと治らない湿疹が背中にあります
ボーエン病の疑いがあります
赤茶色のだ円形で、湿 疹などに似た症状を持つ ボーエン病について、日 本皮膚科学会認定皮膚科 専門医、中野皮膚科クリ ニック院長の松尾光馬先 生に聞きました。
―どんな病気ですか?
「ボーエン病は皮膚の浅いところにできる皮膚がんの一種です。 60 歳以上に多く、おなかや背中などの体幹部や手足、陰部などに発症します。痛みやかゆみもなく、見た
目は湿疹や日光角化症などに似て、赤茶色で少し盛り上がっています。表面はカサブタが付着したりしていて、5~ 10 ㎝程度まで徐々に大きくなります。表皮内ガンなのでそこに留まっていれば転移しませんが、3~ 10 % の割合で真皮層まで浸食して有棘(ゆうきょく)細胞がんになる可能性があります。そうなると遠隔転移の可能性も」
―原因は何ですか?
「紫外線の影響が指摘されていますが、はっきりした因果関係は分かっていません。多発する場合は井戸水を飲む習慣から起こるヒ素中毒、陰部などにできた場合はヒト パピローマウイルス感染が原因とされています」
―治療法は?
「まずボーエン病の可能性を考えた場合、生検をして診断します。鑑別がついたら病変から5㎜ 程度離して切除します。 ボーエン病であれば転移をしないので、腫瘍を残さず切り取れば問題ありません。
痛みやかゆみの症状がなく、見た目は湿疹などに似ているため、市販の薬をつけて対処されていることも多くみられますが、治りにくく症状が続く場合は、ボーエン病の可能性も考えて皮膚科を受診してみましょう」